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    ロジャーズ「必要充分」論文(3)

    引き続き、カール・ロジャーズの1957年の有名な論文、「セラピーにおけるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」("The Necessary and Sufficient Conditions of Therapeutic Personality Change", Journal of Consulting Psychology, Vol. 21, No. 2, 95-103)を細かく読んでいく。

    昨日はもっとも引用される「条件」の節を検討した。

    正確に言えば、「条件」の「節」の冒頭部分になる。

    というのは、引き続いて、各条件の解説を行う「項」が並ぶからだ。

    今日はその第一項目「関係」を検討する。

    つまり第一条件の解説の部分だ。

    邦訳はやや理解するのに難しいものになっているが、原文はかなりシンプルに述べられている。


    関係

    A Relationship

    The first condition specifies that a minimal relationship, a psychological contact, must exist. I am hypothesizing that significant positive personality change does not occur except in a relationship. This is of course an hypothesis, and it may be disproved.

    この部分は伊東訳で問題ないように見える。

    昨日述べたような理由から、psychological contactは「心理学的接触」と訳している。

    私訳:

    関係

     第一の条件は、最低限の関係、心理学的接触が存在しなければならないことを特定するものだ。重要な、肯定的なパーソナリティ変化は、関係なしには生じない、と私は仮説立てている。これはもちろん仮説なので、反証されうる。


    次の段落。

    Conditions 2 through 6 define the characteristics of the relationship which are regarded as essential by defining the necessary characteristics of each person in the relationship. All that is intended by this first condition is to specify that the two people are to some degree in contact, that each makes some perceived difference in the experiential field of the other. Probably it is sufficient if each makes some "subceived" difference, even though the individual may not be consciously aware of this impact. Thus it might be difficult to know whether a catatonic patient perceives a therapist's presence as making a difference to him-a difference of any kind-but it is almost certain that at some organic level he does sense this difference.

    この段落は、伊東訳がほぼ意味不明である。

    細かく逐語訳していこう。

    Conditions 2 through 6 define the characteristics of the relationship which are regarded as essential by defining the necessary characteristics of each person in the relationship.

    伊東訳では、

     第2条件から第6条件までは、その関係の特色を規定するものであるが、その関係のなかの2人の人に必要な特質を規定しているがゆえに肝要なものと考えられる。

    となっている。


    which節がなにを修飾しているかの解釈だが、伊東訳は「第二条件から第六条件」を修飾していると解釈していることになる。

    しかしシンプルに考えれば、the characteristics of the relationshipの後ろにきているのだから、これを修飾していると考えるのが自然ではないだろうか。

    そして伊東訳はby以下の句をwhich節の中に含めて解釈しているのだが、これはdefineを修飾する副詞節と考えてもよいのではないか。

    致命的に意味が違ってくるという部分ではないが、この項目(関係)は、第一条件の解説という役割を持っているので、「第二条件から第六条件までは個々の人物に必要な特徴を定義することで、関係に必要な特徴を定義することになるのだが、第一条件は関係そのものの特徴を定義しているのだ」というほどの意味ではないか。

    いずれにしてもessentialなのは第二条件から第六条件でなはくrelationshipである、というのがこの文の意味だと思う。

    All that is intended by this first condition is to specify that the two people are to some degree in contact, that each makes some perceived difference in the experiential field of the other.

    伊東訳は

    この第1条件の意図するところは、2人の人がなんらかの程度の接触をもっており、そのそれぞれが、他者の経験領域のなかに知覚できるほどの違いをもっていることを言おうとしているだけである。

    ここがちょっと意味不明。

    原文はシンプル。

    ここでは「二人の人がいる」ということが前提となっているため、the otherは「他方」とか「相手」というほどの意味で、anotherと同義。

    「お互いに、相手の側の」というニュアンス。

    一人の人が、相手方の体験領域においてmake a difference(差異を生み出す=有意味である)しており、また反対側の人も同様だ、というだけ。

    Probably it is sufficient if each makes some "subceived" difference, even though the individual may not be consciously aware of this impact.

    伊東訳は

    その人が、そこからくる緊張を意識して気づいていなくても、ある程度その違いを「潜在知覚」(subceive)しているならば、それで十分であろう。

    impactを「緊張」と訳しているのは、次の文にカタレプシーの例が出てくるからか。

    しかしここはカタレプシー患者ではなく、自分が知覚しているかどうか、自覚できる人が、たとえ相手が存在しているという事実の影響に気づいていなくとも、というほどの意味。

    subceiveはsubceptionの動詞化なのだろう。

    Thus it might be difficult to know whether a catatonic patient perceives a therapist's presence as making a difference to him -- a difference of any kind -- but it is almost certain that at some organic level he does sense this difference.

    伊東訳は

    だから、緊張病の患者が、セラピストの存在を自分とは違うものとして――どんな違いであれ――知覚しているかどうかはわかりにくいことであるが、彼がある有機体的水準においてこの違いを感じていることはほぼたしかなことである。

    この「自分とは違うものとして」というのはほぼ誤訳だろう。

    「自分にとって」make a differenceするものとして、つまり「有意味なものとして」という程度の意味。

    たんに「自他を区別できる」という意味ではない。

    (自他を区別できているのであれそうでないのであれ)対象(ここではセラピスト)を他とは違うものとして区別している(つまりそれが有意味ということなのだが)、それは間違いない、とロジャーズはいいたい。


    私訳:

     第二の条件から第六の条件までは、不可欠であるとみなされる関係の特徴を定義している。その関係における、それぞれの人物の必要な性質を定義することによってである。この第一の条件によって意図されているのは、その二人の人々が、ある程度接触している、ということを特定しているだけであり、それぞれが、その他方の側の経験的領域において、なんらかの知覚された差異を持っている〔力を発揮している、意味がある〕ということを特定しているだけである。おそらく、それぞれがなんらかの「潜在的に知覚された(subceived)」差異を持つならば、充分である。たとえその個人がこの〔差異のもたらす〕影響を、意識的には気づいていないかもしれなくとも。したがって、カタレプシー〔緊張病、強硬症〕の患者が、セラピストの存在を自分にとって差異をもたらす〔意味のある〕ものとして――どのような種類の差異であれ――知覚しているのかどうか、知ることは難しいものとなろう。しかし、なんらかの有機体的なレベルでこの差異を感知しているのは、ほぼ確実である。


    次の段落:

    Except in such a difficult borderline situation as that just mentioned, it would be relatively easy to define this condition in operational terms and thus determine, from a hard-boiled research point of view, whether the condition does, or does not, exist. The simplest method of determination involves simply the awareness of both client and therapist. If each is aware of being in personal or psychological contact with the other, then this condition is met.

    ここは伊東訳でほぼ理解できる。

    私訳:

     いま述べたような、難しい境界的状況をのぞけば、操作的用語でこの状況を定義することは比較的簡単なことであり、それゆえ、硬派な研究の観点から、その状況が存在しているのか存在していないのかを判定することも容易なのである。もっともシンプルな判定方法は、ただクライエントとセラピストの気づきを対象とすることだ。もしそれぞれが、他方と、パーソナルなあるいは心理学的な接触を持っていることに気づいていれば、この条件は満たされている。


    次の段落:

    This first condition of therapeutic change is such a simple one that perhaps it should be labeled an assumption or a precondition in order to set it apart from those that follow. Without it, however, the remaining items would have no meaning, and that is the reasOn for including it.

    ここも伊東訳でほぼ理解できる。

    私訳:

     セラピー的変化の、この第一の条件は、このようにとてもシンプルなので、続く諸条件から切り離すため、おそらく仮定とか前提条件と名付けられるべきだろう。しかしながら、これがなければ、残る項目は意味をなさないであろうし、そのことが、これを条件に含める理由である。



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