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    システムズ・アプローチの基礎:家族療法(1)


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    撮影日時
    2012/09/06 15:46:09



    システムズ・アプローチの基礎:家族療法(1)


    家族療法はシステムズ・アプローチとしてはじまっていると見て、おおよそ間違いはない。

    もちろん、カウンセリングルームに家族が集まる面接形式はそれ以前からあった。

    しかし、「個人を観るより、システム、それも家族というシステムを観たほうが、治療効果が高く、確実性が高い」という事実に、多くの臨床家が気づいたのは、やはり1950年代に、彼らが、システム理論を認識論として共有していたことが貢献している。



    今日は家族療法入門の、基礎編。


    まず語群選択問題。

    Q1. 家族システムとは、生きものがつくるシステムなので(ア)とも呼ばれ、環境との限りない(イ)をもっていて、(ウ)が特定できないシステムである。つまり、家族はそのサブシステムとも上位システムとも循環作用をしており、問題や問題の人を(エ)によって探ることは不可能となる。したがって家族療法では、家族内の症状を持っている人、問題となっている人を(オ)と呼び、援助のターゲットを、主として家族メンバーの(カ)の変化にする。


    [語群]

    直線的因果律 循環的因果律 原因 結果 相互作用 IP 患者 開放システム 閉鎖システム 関係

    【解答と解説】

    • ア:解放システム
    • イ:相互作用
    • ウ:原因
    • エ:直線的因果律
    • オ:IP
    • カ:関係

    「システム理論」なんて言葉は聞いたことがない、という人は上の文章をこのまま覚えてしまってOK。

    「これを『システム理論』というには粗雑すぎる。これは理論というよりせいぜいモデルであって、『システム論』とでもよぶべきではないか」とこだわる人は、とりあえず家族心理学の世界の人を相手にするときには、そうした正しいものの見方を棚上げしておくのが無難。


    このブログでしばしば登場するキーワード「IP」はIdentified Patient(患者とみなされたひと)の略、ということになっている。

    ぼくはスティーヴ・ド・シェイザーのIndexed Person(インデックス化されたひと)の方が気にいっているけど。



    次はマルバツ問題。各スクールの特徴。

    Q2.多世代派の家族療法家といわれるボーエン(Bowen, M.)は、夫婦の自己分化を高めることにより、破壊的権利付与から建設的権利付与への橋渡しをすることが大切であると述べている。

    【解答と解説】

    ボーエンは多世代派の家族療法家で、「分化」を重要視した人だけれど、「破壊的権利付与」「建設的権利付与」(constructive/destructive entitlement)は、同じく多世代派のボスゾルメニィ・ナージのキーワード。

    よってバツ。


    Q3.ミラノ学派のパラツオーリ(Selvini-Palazzoli,M.)らは、IPの症状そのものを肯定的意味変換をすることにより、症状を消失させる方法を生み出した。その手法として、逆説的な書簡を家族に渡す方法をよく用いている。

    【解答と解説】

    「肯定的意味変換」ないし「肯定的意味づけ」(positive connotation)はミラノ派のキーワードのひとつ。

    「症状処方」(ないし「逆説的処方」)は、ベイトソンら(MRI)のコミュニケーション派、つまりパラドクスを使用する療法でもひろく使われているが、ミラノ派もMRIからの流れをくむスクール(とはいえイタリアとアメリカの距離によって、独特の発展を遂げたともいえる。が、それにもかかわらず、ここまで似たようなことをそれぞれにやっていたのだ、ということにも驚かされる)。

    「症状処方」とは、問題となっている人の問題行動を、もっと続けるよう、それも意図的に続けるよう、セラピストが指示をすることだが、それを家族に納得してもらうには(その家族は、その問題行動をなくしたくて相談に来ているわけだから)、その問題行動の意味を、肯定的なものに変換する必要がある。

    意味を変えるコミュニケーションのことを一般的に「リフレーミング」というが、これはMRI出身のワツラウィックが言い出した(とはいえ「肯定的意味づけ」はミラノ派のもっとも独創的な手法である)。

    リフレーミング自体は、たんに「異なる意味づけが可能であること」しか示さないので、クライアントの発言をポジティブに解釈することも、ネガティブに解釈することも、同様にリフレーミングであるが、ミラノ派が「肯定的意味づけ」を必要とするのは、症状処方という、クライアント家族にとっては受け入れがたい介入を受け入れさせる必要があるからだ。


    また、「逆説的書簡法」(paradoxical letter)とは、逆説的介入が記された手紙を、クライアントに手渡すこと、もしくは郵送することで、これもミラノ派のアプローチ。


    マル。



    Q4.解決志向アプローチ(ソリューション・フォカスト・アプローチ)では、ミラクル・クエスチョンやスケーリング・クエスチョン、例外探しの質問、うまくいっていることをDo moreなどを技法として用いている。へイリー(Haley,J.)とマダネス(Madanes, C.)によって生み出されたアプローチである。

    【解答と解説】

    「短期療法」(Brief Therapy)とよばれる潮流の中でも、スティーヴ・ド・シェイザーとその妻インスー・キム・バーグらが提唱し始めたソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach)は、現時点の心理療法の中でももっとも注目を浴びているもののひとつ(認知行動療法を別格とすれば)。

    ただし、「ソリューション・フォーカスト」は、「短期療法」の数ある手法のうちのひとつであることも、同時に認識しておかなければならない。

    たとえば東北大グループは、MRIのアプローチを「裏」、ソリューション・フォーカスト・アプローチを「表」とした「ダブル・ディスクリプション・モデル」を提唱している。

    短期療法のモットーは「あれか、これか」ではなく「あれも、これも」である、というわけだ。


    ド・シェイザーらは、ミルウォーキー州に短期家族療法センター(Brief Family Therapy Center)を開設し、拠点としたことから、ミルウォーキー派ともいわれる。

    ちなみにこれは、MRIがパロ・アルトにあることから、MRIのコミュニケーション派が、パロ・アルト派とよばれていることとの差異化である。

    手法としては、質問を使った例外探しと例外の拡張、それだけであり、そのシンプルさと脅威の治癒率で、脚光を浴びることとなった。


    問題文では、ヘイリーマダネス(彼らは「戦略派」とよばれる)が創始者とされているので、バツ。

    (もちろん、ヘイリーもド・シェイザーも、それから家族療法の文脈ではほとんど言及されないビル・オハンロンも、ほとんど同じ着想から技法を発展させており、「短期療法を生み出した」という問題文なら、この文が間違いだとはいえない。彼らの手法のお手本はミルトン・エリクソンである)



    Q5.1990年以降の新しい家族療法の流れとして、社会構成主義の影響を受けたナラティブ・セラピーが誕生した。なかでも、マイケル・ホワイト(White,M.)の「問題の外在化」は有名である。治療の目標は、症状を生み出すドミナント・ストーリーを書き換えていく作業が中心となる。

    【解答と解説】

    ホワイトという人名、「ナラティブ」「外在化」「ドミナント・ストーリー」というキーワードをセットにして覚えておこう。

    ナラティブ・セラピーも、現在もっとも注目を浴びている手法のひとつである。

    どちらかというと、家族療法よりも、医療の現場で言及される機会が多いようだ。




    次に、左のキーワード1~5に、それぞれ当てはまるキーワードを、ア~オの中から選ぶ問題。

    Q6.

    1.ミニューチン      ア.公平さ

    2.ボソルメニィ・ナージ  イ.ジェノグラム

    3.ボーエン        ウ.迂回連合

    4.MRI           エ.ミラクル・クエスチョン

    5.ド・シェザー      オ.治療的二重拘束

    【解答と解説】

    • 1.ウ
    • 2.ア
    • 3.イ
    • 4.オ
    • 5.エ

    1.

    ミニューチンは「構造派」の家族療法家。

    ミニューチンは、両親が葛藤回避のために子どもを巻き込んでつくる三者関係のパターンを、「三角関係化」(triangulation)、「安定的連合」(stable coalition)、「迂回過程」(detouring)の三つに類型化した。

    キーワードにある「迂回連合」は「迂回過程」のこと。

    迂回連合では、両親が一緒になって子どもの問題にかかずらうことに葛藤を迂回させる。

    これにより、子どもは、両親の葛藤を避けるためには、自分の症状を維持しなければならなくなる。

    (うわー、なんかみにおぼえがありすぎて、ドキッとするわー)


    2.

    さきほど「多世代派」として名前が出てきたボソルメニィ・ナージ(ボスゾルメニィ・ナージ)。

    ナージも多世代派であるため、ジェノグラムを多用するが(というか家族療法家でジェノグラムを使わない立場は少数派だと思われるが)、「公平さ」(fairness)というナージ独特のキーワードがあるため、こちらと結びつける。

    公平さとは、親密な関係の基礎であり、歴史をもった広範な人間関係の中で、システムのバランスを保ち、家族を倫理的、実存的につなぐ綾である。

    安定したシステムは、家族内の公平な授受(give and take)の関係によって維持されている。

    どうように「忠誠心」(loyalty)もナージのキーワードとして覚えておこう。

    忠誠心とは、集団をつなぐ見えない期待の糸であり、集団に所属していることの証しである。

    家族内の異世代(親子間など)に向けられる忠誠心を「垂直の忠誠心」、同世代(夫婦、同胞、仲間など)に向けられる忠誠心を「水平の忠誠心」とよぶ。


    3.

    ボーエンはすでに解説済みだが、ジェノグラム(genogram)を積極的に用いるのが多世代派だ、と覚えておこう。

    ジェノグラムとは……

    genogram

    こんな感じのもので、「世代関係図技法」とも訳される。


    4.

    MRI(Mental Research Institute)のグレゴリー・ベイトソンからすべてははじまった、というのは過言である。

    たぶん。

    システムという発想はベイトソンのオリジナルではないし、心理療法のセッションで何が生じているのか、ということの理解は、ミルトン・エリクソンに負うところが大きい。

    ベイトソンという人は、とにかくいろんなことをやった。

    だから、「学際的」とか「統合」とかに関心が集まった20世紀半ばに、彼が注目されたのは、当然のことかもしれない。

    ベイトソンといえば、「ダブル・バインド」で有名だ。「二重拘束」と訳される。

    母親が「こっちにくるな」という表情で、「こっちにおいで」と子どもにいうなら、この子どもはダブル・バインドに陥ることになる。

    当初、ベイトソンは、ダブル・バインドを症状の原因と考えていたが、エリクソンがこれをむしろ「治療的に」使えると表明したことから、MRIのコミュニケーション派では、「治療的二重拘束」を使うようになった。

    これもミラノ派同様、逆説的介入の一種である。

    「パラドクス(逆説)」とはたとえば「この命題は偽だ」のような、決定不可能な命題のこと。

    これをセラピストはクライアントへの提案に使う。

    クライアントは、セラピストに抵抗することによってさえ、セラピストに従うことになってしまう。

    エリクソンの有名な事例。59歳の男性は、右腕のヒステリー性まひで、職を失い年金ももらえなくなるという関連した脅威に直面していた。エリクソンはこの患者につぎのように話した。「あなたの病気は進行性の症状群で、このまま右腕を使っていると結局は右の手首が凝ってきますよ」。予言のとおり、このマヒは手首がわずかに凝るところまで進行し、男は職場に復帰することができた。

    このクライアントがエリクソンの「命令」(直接命令はしていないものの)に従い、しばらく右腕を使わないでいるなら、エリクソンの忠告どおり、右の手首の凝りを回避し、マヒも消えるだろう。もし命令に「抵抗」し(この抵抗の力をエリクソンは利用しているのだが)「手首が凝るぐらいなんだっていうんだ!」と使い続けても、これまた予言通り、手首が凝る程度へと進行し、症状は消えるだろう。


    5.

    問題文では「ド・シェザー」となっているが、Q4のソリューション・フォーカスト・アプローチで有名なスティーヴ・ド・シェイザーのこと。

    「ミラクル・クエスチョン」はその名の通り、「もし今夜、寝ている間に奇跡が起きたとします。朝目が覚めて、どんなことから、奇跡が起きたことに気付き始めますか?」といったような質問。



    A~Eのキーワード連鎖が、それぞれ正しいかどうか、マルバツ問題。

    Q7.

    A 家族システムの発達 ―― 多世代理論 ―― ジェノグラム

    B ベイトソン ―― 物語療法 ―― コミュニケーション

    C 拡散した境界 ―― 構造理論 ―― 自己分化

    D 文脈療法 ―― ボーエン ―― 多方向への肩入れ

    E パラドックス ―― 迂回連合 ―― 短期療法

    【解答と解説】

    • A:マル
    • B:バツ
    • C:バツ
    • D:バツ
    • E:バツ

    A.

    Aのキーワードにある「家族システムの発達」がなにを意味しているのか判然としないが(家族ライフサイクルのことをいっているのだろうか)、多世代理論がジェノグラムを積極的に使う(たんに情報を集めるためのみならず、ジェノグラムを家族とセラピストが共同でつくり上げることに治療的効果がある)ことは述べたとおり。


    B.

    ベイトソンとコミュニケーションは強い結び付きがあるが、「物語療法」とは「ナラティブ・セラピー」のことである。


    C.

    構造理論(ミニューチンの構造派)と、「拡散した境界」という家族の構造を記述するキーワードは結びつくが、「自己分化」はボウエンの重視した概念。


    「自己分化」について解説する。

    家族システムは、夫婦の結合からはじまるが、夫婦は、「自己分化度」が同程度の者同士が結合する傾向にある。

    ボウエンのいう自己分化とは、「知的な自己」と「情緒的な自己」との分化度が高ければ高いほど、心理的に成熟しているとされる。

    自己分化度の低い両親のもとでは、子どもも自己分化度が低くなる。

    そこで、セラピストは、自己分化を高めるサポートをする。


    D.

    「文脈療法」とはボスゾルメニィ・ナージの療法をいう。ボーエンではない。

    これと「多方向への肩入れ」は強く結びつく。

    家族療法における、信頼関係(ラポール)づくりを「ジョイニング」というが、ナージはジョイニングの具体的態度・技法を「多方向への肩入れ」とよんだ。つまり全員をわけへだてなく「えこひいき」することである。


    E.

    短期療法の出発点はMRIにあった、といったらこれもやはり過言だが(エリクソンにある、というなら、まだましかもしれない)、まあ、結びつきはある。

    「迂回連合」は構造派、ミニューチンと結びつく。



    次は、多世代派に関するマルバツ問題。

    Q8.

    ア 家族の現在の問題の原因を、過去にさかのぼって究明し、その原因を除去するのが、多世代家族療法である。

    イ 多世代家族療法では、治療者自身の源家族からの自己分化を重視する。

    ウ 多世代家族療法では、個人の精神内界過程や家族メンバー間の相互作用には、焦点が当てられない。

    エ 多世代家族療法では、親の育て方が悪いから子どもに問題が起こった、という見方をする。

    オ 多世代家族療法は、個人・夫婦・家族の悩みや問題を、数世代にわたる拡大家族システムの枠組みから理解しようとする。

    【解答と解説】

    • ア:バツ
    • イ:マル
    • ウ:バツ
    • エ:バツ
    • オ:マル

    ア:これは多世代派というより、システムズ・アプローチ全般にいえることだが、過去の原因の除去、という「直線的因果律」の認識論を退けるところから家族療法はスタートしている。


    イ:セラピストが自分の原家族(問題文中では「源家族」となっている。両方使う)から分化していることが、多世代派の条件とされている。


    ウ:メンバーの相互作用に注目するのが家族療法。これも多世代派に限らない。


    エ:「悪いから」というのは「原因」を探っていることになる。こういう見方を「直線的因果律」という。


    オ:これが多世代派の特徴をよく表している。






    ダイエット

    (1月27日分)

    376日目。

    体重65.0kg(17.5kg減)。体脂肪率18.2%(9.4%減)。


    ぼくのダイエット法はコチラ(ようはケトジェニックダイエットを認知行動療法でサポートしたものです)



    ダイエット指南のメルマガ発行してますダイエットの教科書@まぐまぐ



    認知行動療法ダイエットプログラム主催しています(ぼくも実践しているケトジェニックダイエットの指導もしています)





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    [C22] Re: 家庭相談士

    どうすれば合格するかはよくわかりませんが、
    家族心理学だけでなく、
    家族をトピックとした「家族論」全般に気を配ると良いかと思います。
    講義でまったく扱っていない家族論の歴史(エンゲルスや山根常男など)が出たり、
    こんな細かいことは出ないだろう、と思われたことも講義で触れられたならば出たり、
    といった感じです。

    『家族心理学辞典』はまるで役に立ちませんでした。
    (ほぼ丸暗記しましたが、まるで出題されませんでした)

    > ちなみに試験時間はどれくらいか覚えておられますか。十分な時間だったでしょうか。
    これも時間はほとんど関係がないかと思います。
    「家族を支援するにあたってあなたにはどういう長所がありますか」
    といった質問をされます。
    逆に言えばどんなに短期療法や家族療法に長けていても、
    「家族を支援する」ことに特化していなければ不合格で、
    心理療法や心理カウンセリングの適正を完全に欠いていても、
    家族支援を現実に実行できる/実行しているならば合格です。
    対象となる家族が、真に支援されているか否かはまったく問われません。
    • 2014-12-17 17:12
    • orangeProse
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