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    たんてきに解決するには(5)

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    347日目。

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    たんてきに解決するには(5)


    昨日のエントリでは、ブリーフセラピーで主に使う、5つの質問技法を紹介しました。


    再掲すると:

    • スターティング・クエスチョン
    • 差異についての質問
    • スケーリング・クエスチョン
    • コーピング・クエスチョン
    • ミラクル・クエスチョン

    これらは、基本的には、「例外を探索し、見つかったらそれを拡張する(do more)」というソリューション・フォーカストにもとづく技法です。

    では、変化も例外も見つからなかったらどうするか?

    「それは面接者が無能だから見つからないんじゃないの?」とお叱りの意見が聞こえてきそうですが、たしかに、面接者の力能に応じて、なかなか見つけ出しにくいものが「例外」というものです。

    たとえば、「問題とされている状況」がたった一度しか起きていない、というクライアントに接した場合、「例外」を見つけ出すのは困難です。

    客観的に見れば、たった一度しか問題が起きていないのであれば、またその問題が起きるとは限らないのであって、ほとんどの場合それはクライアントの取り越し苦労というもので、そもそも再現性がないのであれば、科学的には問題とならない――という意見が「正解」ということになります。

    しかし、だとしたら、そのクライアントは、なぜ、わざわざ予約まで取って、カウンセリングを受けているのでしょうか。

    おそらく、語っている内容は「たった一度の問題」かもしれませんが、「サポートがほしい、生活上の側面」を代表させて、その問題を語っているのでしょう。

    このような場合、まず「(問題は何なのかよくわからないが)その問題を解決することで、何がしたいのか」「どうなりたいのか」を明確にします。

    そして「そのようになる」「それをする」ことを阻害している、様々な要因を探っていきます。

    そこまでいくと、ほとんど伝統的な傾聴技法と変わるところがないのですが、「問題」の側から「原因」を探っていくことと、「解決」の側から「原因」を探っていくことの違いに、我々のやっていることと、伝統的な立場との違いがあるのではないかと思います。




    それはともかく、「ブリーフセラピーとソリューション・フォーカストを同一視されると困る」と第一回で述べたことを、ここでもう一度問題にしてみたいと思います。

    ソリューション・フォーカストは、ブリーフセラピーの一手法でしかありません。

    ブリーフセラピーでもっとも成功した立場だとしても。

    ブリーフセラピーは、「あれか/これか」ではなく、「あれも/これも」をセントラル・フィロソフィーとしています。

    その代表例が、東北大グループの「ダブル・ディスクリプション・モデル」です。

    「ダブル」というからには、最低でもふたつ、選択肢があるわけです。

    「表裏のアプローチ」ともよばれます。


    事例を見ましょう。


    用語法の注意点:システムズ・アプローチにもとづく心理療法、つまり家族療法やブリーフセラピーでは、クライアントを「患者(Patient)」とよばずに「IP(identified patient)」とよびます。「患者とみなされたひと」というほどの意味です。患者という呼び方は、そのひとが病気であるという、個人に還元した呼び方だからです。

    なお、同様に「IP」と呼ぶにしても、スティーヴ・ド・シェイザーはIndexed Personという言い方をしていました。「しるし付けられたひと」というほどの意味です。ぼくはこちらの言い方が気に入っています。

    ちなみに「クライアント」は誰なのか、というと、家族療法の場合は家族で、個別面談の場合は家族を中心とした、IPが関わっているすべての関与者、ないし協力者です。


    以下は、13年間、「慢性化した広場恐怖を伴うパニック障害」と診断されている40歳男性の事例です。

    紹介により、X年7月11日、「当院を受診」し、以後、通院しています。

    第1回面接(X+1年12月9日)では「もうこれ以上会社に迷惑をかけられないから、通院することは難しいです」と述べていましたが、その日の初回面談で奮起し、症状の除去に取り組みたいと、担当の心療内科医に申し出て、X+2年1月2日に入院します。

    第3回面接(X+2年1月20日)で、セラピスト(TH)は担当医と話し合い、毎週末(木・金・土)の外泊を認めることになりました。

    この患者は入院しているので、「外泊」というのは、週末(木・金・土)に自宅に帰ることを意味しています。

    第4回面接(X+2年1月27日)――逆立ちをするという課題の提示――


    介入課題パニック症状が逆立ちしたときの感覚に似ているということから、外泊時に、症状が出始めたら逆立ちをする。それもなるべく子ども達とやることでした。

    IPはこれをしたとき、その結果として70%はおさまるとイメージしました。また、IPは「子どもにバカじゃないのと言われたらどうすればいいですか?」と尋ねてきたので、THは「”バカで~す”と言い、”こんな面白いことはお父さん一人でやろう”と言ったらどうか」とアドバイスしました。


    第5回面接(X+2年2月3日)――再び、逆立ち課題の提示――

    〔…〕課題である「逆立ちをやったら、出なかったんです」と述べました。

    〔…〕入院したときを0として、治った状態を10とすると、今「5~6くらい」であるとしました。怒りについては、怒ることがほとんどないということであり、「子ども達といる時間が長くなりました。トランプをしたりして」と述べました。


    介入課題朝にその日の症状予期を行うことから、裏のアプローチにおける悪循環的行動パターンの変化をTHは意図し、朝の行動パターンに違いを作ることを提案しました。また、「逆立ちをしたら出なかった」と例外的行動パターンを述べていることから、第5回面接においても逆立ちをするよう指示しました。

    このパニック障害の事例は、東北大グループによる「パニック障害に対する短期療法の有効性」という論文で紹介され(『こころの健康』2000年vol.15,No.1)、印象的だった事例です。

    上記の引用は昨日に引き続き『ガイドブック』からです。

    このIPは、担当医の判断で、X+2年2月24日に退院し、通院療法になりました。

    パニック発作もなくなり、X+2年8月4日の面談で終結しました。


    このIPが13年前、結婚の時期と前後して、いわゆるパニック発作、食事が飲み込めない、夕食は食べられない、などの症状が出始めて以来、「妻や子どもに怒ってしまう」ということを問題としてあげていましたが、第4回面接では「怒れなくなってしまった」と語っています。

    その辺の介入も面白いのですが、またの機会に紹介します。


    この事例で目を引くのが、「逆立ちをする」という課題でしょう。

    パニック障害の患者がすべて逆立ちで治ってしまうのであれば、こんなに楽なことはないのですが、このIPの場合は、「逆立ちをする」というdo differentをしてみたところ、症状が出ないという「例外」が生じたため、それをdo moreしていったわけです。


    東北大グループの採用している「ダブル・ディスクリプション・モデル」の図を掲載します。

    double discription model

    きわめて単純なモデルで、こんなにいいかげんでいいのだろうか、と笑ってしまいそうになりますが、これでブリーフセラピーの全体像をおおよそカバーできているといってもよいでしょう。

    (ぼくはこれにさまざまな「体験的」要素を付け加えてやっていますが)

    左のdo moreに進む側が「表」で、ソリューション・フォーカスト(ミルウォーキー派)にあたります。

    右のdo differentに進む側が「裏」で、コミュニケーション派(MRI;パロ・アルト派)にあたります。

    昨日までのエントリでは、「例外の拡張」というソリューション・フォーカストのアプローチに注目してきましたが、「〈問題←→偽解決〉の悪循環」を切断するというアプローチも、重要な位置を占めます。


    ぼくの少ない経験からすると、例外はなかなか見つかりませんが、偽解決による悪循環は、わりと見つけやすいものです。

    クライアントさんは、「いかに問題が大変で、いかに苦労しているか」をわかって欲しいので、「少しでも良い時はありませんか?」と聞いてもなかなかそれを教えてはくれませんし、気づいてさえいないことが多いのですが、「こんなことをふだん試している」ということは語ってくれます(それでもダメで、苦労している、というわけです)。

    基本的には、その悪循環を切断する介入、つまり「偽解決」を「やめさせる」ような介入が典型的ですが、do differntを「つくる」という意味では、「逆立ち」のような課題を「創造する」のがうまいやりかたでしょう。


    悪循環を切断する介入課題も、このケースでは示唆的なのですが、またの機会にご紹介します。



    【引用文献】






    今日の詩篇

    誕生  谷川俊太郎

    頭が出かかったところで赤ん坊がきく
    「お父さん生命保険いくら掛けてる?」
    あわてておれは答える「死亡三千万だけど」
    すると赤ん坊が言う
    「やっぱり生まれるのやめとこう」
    妻がいきみながら叫ぶ
    「でも子供部屋はテレビ付きよ!」
    赤ん坊は返事をしない
    猫撫で声でおれは言う
    「ディズニーランドへ連れてってやるぜ」
    赤ん坊がしかつめらしくおれを見上げて
    「世界の人口増加率は?」
    知るもんかそんなこと
    赤ん坊が頭をひっこめ始める
    妻が叫ぶ「もうツワリはたくさん!」
    おれは小声でドスをきかせる
    「出てこないとおしりピンピンだぞ!」
    やっと赤ん坊がおぎゃあと泣いた


    (詩集『詩を贈ろうとすることは』)

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