Entries

    【帰り花】歳時記シニフィアン

    • 煉獄の裸の兄や帰り花 秀雄
    • 雛壇をしまわぬ母子や帰り花 秀雄

    *煉獄=れんごく

    帰り花

    【帰り花(かへりばな)】返り花 忘れ花 狂ひ花 狂ひ咲き

    小春日和に誘われて咲く季節外れの花のこと。俳句では桜を指す場合が多いが、山吹・躑躅(つつじ)など、他の花についてもいう。

    (角川学芸出版編『俳句歳時記 第四版増補 冬』(角川ソフィア文庫))

    世間では師走だが、旧暦ではまだ神無月(10月)である。

    今年は新暦12月11日が、旧暦の11月1日にあたる。

    その前に、12月7日には【大雪(たいせつ)】が訪れる。二十四節気の第21。12月22日が【冬至】。期間として【大雪】という場合は、【冬至】の前日までのことをいう。

    今年は11月8日が【立冬】で、そこから【大雪】の前日までが、いわゆる「初冬」である。

    【大雪】から来年の1月5日までがいわゆる「仲冬」で、来年は1月6日に【小寒】が訪れる。そこから「晩冬」ということになる。

    • 物すこやあらおもしろの帰り花 鬼貫
    • 帰花それにもしかん筵切レ 其角
    • 何の木ととふまでもなし帰り花 来山
    • 凩に匂ひやつけし帰花 芭蕉
    • 霜白し烏のかしら帰り花 言水
    • すかさずや道に酒売帰り花 白雄
    • 日に消えて又現れぬ帰り花 高浜虚子
    • うかうかと咲き出でしこの帰り花 高浜虚子

    *筵=むしろ、凩=こがらし

    「小春日和に誘われて咲く」などと言われても、晩秋からずっと暖かかったし、先週は(11月25日)いきなりどっさりと雪が降った。

    あの雪が降った日、ちょうどぼくはスポーツクラブで筋トレをしていたのだけど、窓の外はひどい勢いで綿雪というか餅雪というか、大きめの雪片が降り続いているのに、地上は積もるということもほとんどなく、グチャグチャしていた。

    「タイヤ変えましたか?」「いやあ、まだですねえ」などとトレーナーとやりとりしたが、駐車場の自家用車まで歩くのが嫌だなあ、としか思わなかった。

    隣町のスポーツクラブだから、クロッグスのサンダルで来ていたのだ。

    トレーニングマシンが軽く感じたので、ウェイトを5kg増やした。

    案の定、くるぶしまで濡れて帰ることになった。


    帰花かへりばな(初冬) 返花 帰咲(かえりざき) 二度咲 忘花(わすればな) 忘咲 狂花(くるいばな) 狂咲

    【解説】時ならぬ時節に咲いた草木の花をいう。初冬の小春日和のころに多く、桜、躑躅(つつじ)、梨、山吹、たんぼぼなどが多いが、その他あらゆる草木の二度咲を総称していうのである。「帰り咲く桜」「たんぼぼの返り花」のように特定の花の名を入れて詠むことも多い。花の数は多くなく、葉の落ちつくした梢に赤い花が一、二輪ついていたり、庭の躑躅が三、四輪の返り花をつけていたりするのがふつうである。人の忘れたころに咲くので忘れ花といい、冬の暖かさに時節を間違えて咲くことから狂い花というが、これらの用法はとぼしく、もっぱら帰り花、帰り咲が使われている。

    (山口青邨編『新装 俳句歳時記 冬の部』(平凡社))

    先週の雪の後、やや肌寒い日が続いた。ような気がする。

    いや、あまり外に出ないので、実感としては分からないのだけれど。朝、まだ寝ていたい時間に異様に暑く感じて布団をはがすと猫が潜り込んでいて「犯人はお前だったのか」というような日々である。

    天気予報によれば、今シーズンは寒暖差が激しいとのこと。

    それから、通常、「初霜・初氷・初雪」は、この順番で来るらしいのだけど、今年は「初雪」がいきなり来た。初霜は年々遅くなっていて、今年(11月30日)は観測史上最も遅い初霜となった。同日、初氷(結氷)も観測された。

    • 人稀に来ては散らしぬ帰り花 松瀬青々
    • 猫の来てかけあがりけり返り花 村上鬼城
    • 返り花あからさまなる梢かな 尾崎放哉
    • 返り花その日その日の来ては去る 久保田万太郎
    • 傘細くすぼめくぐりぬ返り花 山口青邨
    • 返り花三年教へし書をはさむ 中村草田男
    • 帰り花兄妹睦びあひにけり 安住敦

    *睦び=むつび、「その日その日」の繰り返し部分は踊り字

    安住敦の「兄妹」はたぶん、夫婦か恋人同士のことではないか。古語では「兄(せ)」は夫もしくは愛する男、「妹(いも)」は妻もしくは愛する女。池澤夏樹訳の『古事記』(なにげに名著だと思う)では「たんに女性のことを『妹』といった」と注釈があったような気がする(寝室に置いてあるので正確な引用ではない)。

    でも音数合わせのためには「きょうだい」か「けいまい」と読むのだろうか。


    帰り花 帰り咲・狂い咲・二度咲・忘れ花・狂い花

    桜、桃、梨、山吹、躑躅などの花が、十一月ごろの小春日和に、時ならぬ花を咲かせることがある。これを帰り咲・狂い咲・二度咲という。忘れ花・狂い花とも言う。

    和歌、連歌には詠題としてはないが、俳諧に到って盛んに作られ出した。元禄、天明の俳人たちは、とりわけこの現象に興趣をもやしたようだ。『初学抄』『毛吹草』『滑稽雑談』以下、十月、または十一月として、取り上げている。

    (略)

    (山本健吉『基本季語五〇〇選』(講談社学術文庫))
    • 帰り花鶴折るうちに折り殺す 赤尾兜子
    • 骨に咲く花もあるべし帰り花 佐々木とみ子
    • 別るると言ひて空見る帰り花 川上弘美

    「帰り花」とはなんの関係もないのだが。

    【鶏頭(けいとう)】は秋の季語で、「霜の降りるころまで咲きつづける」(山本健吉)らしいのだが、我が家の駐車場に咲いている鶏頭は、雪が降ろうが霜が降りようが、秋と変わらず咲き続けている。

    しかも、コンクリートとコンクリートの隙間から生え出して、1メートル以上の高さに人間の赤ん坊の頭部ぐらいの大きさの花を維持し続けていて、非常に不気味である。雑草か。雑草根性か。

    「なんなんだ、あの気持ち悪い花は」と憎々しく眺めていたのだが、母からあれが鶏頭だということを教えられて(ぼくは草花の名前がまったくもってわからないため、写真を母に送りつけて図鑑代わりにしている)、「有名な季語だし、何かに使えるだろう」と諦念した。

    無意味に立派で、隆々としたところが、象徴性を醸し出している。

    あれは、1年中枯れることなく、あのままなんじゃないかと思っている。


    ※赤尾兜子(とうし)、1925(大正14)年2月28日〜1981(昭和56)年3月17日、本名・赤尾俊郎。

    ※佐々木とみ子、1932(昭和7)年1月1日〜、本名・富子。


    平凡社の歳時記が欲しいです。どなたか、ください。


    関連記事
    スポンサーサイト
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
    http://orangeprose.blog.fc2.com/tb.php/1732-f9b8b05d

    トラックバック

    コメント

    コメントの投稿

    コメントの投稿
    管理者にだけ表示を許可する

    Appendix

    counter

    FC2ブログ

    ブログ

    リコメンド




    ノートンインターネットセキュリティ


    ブログランキング

    QRコード

    QR

    メールで更新を受け取る



    提供:PINGOO!

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる