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    合格する入試小論文を書けるようになる:week2

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    先週からスタートした「合格する入試小論文を書けるようになる」シリーズ、今日はその第2回。


    まず、前回の問題の解答から。別タブで前回の問題文を開きながら読んで欲しい。


    前回の問題:レッスン1「論点と意見または結論」


    問題1:次の文章を読んで、後に続く問いに答えなさい。

    (問題文省略)

    問い:この文章の「論点」を15字以内で、「結論」を50字以上100字以内で書きなさい。


    解答例:

    「論点」:小論文とはなんだろうか。(12字)

    「結論」:小論文とは論点に対する結論を書くという意味では論文である。ただし読者が誰なのかという社会的文脈が、小論文と論文では異なる。(62字)


    細かい部分は、もちろん、異なっていてもかまわない。

    「論点」として、「論文と小論文の共通点と違いは?」(15字)と答えても、まあまあ、6割ぐらいは正解だろう。

    しかし文章の出だしが《「小論文」とはなんだろうか》となっていて、しかも、内容が「そもそも小論文の定義を知らない高校生に、小論文の定義を伝えたい」という意図が明らかなので、あくまでも「論文」の説明は「補助」であり、「主題」は「小論文」である、という点に気付かなければ、満点にはならない。


    「結論」として、「小論文と論文には共通点もあるが、違いもある。共通点は、読者とのコミュニケーションであるという点だ。違いは、出題者を相手に書くか、不特定多数相手に書くかという点だ。」(79字)と答えても、まあ7割ぐらいは正解。

    ただし、「論点」(=設問)が「小論文とはなにか」であるとき、「小論文とは~である」と答えなければ、正解にはならない。

    もしも「論点」として「小論文とはなんだろうか。」と答えておきながら、「結論」として「小論文と論文には共通点もあるが~」と答えていたら、0点である。


    勝手に主語を変えてはならない。



    レッスン2:論点に結論で答える、論拠で補う


    問題2:次の文章は、「レッスン1」の続きの文章である。これを読んで、あとに続く問いに答えなさい。

    (今回から、重要なキーワードは太字で表すことにする)

    前回のおさらいをしておこう。

    論文にせよ、小論文にせよ、同じ「論文」なのだから、論文のルールに従わなければならない。論文のルールとは、〈論点〉に対しての〈結論〉を「きちんと」書く、というものだ。この「きちんと」の部分を、《誠実に》と表現した。

    言葉の整理もしておこう。〈論点〉とは〈設問〉のことであり、〈結論〉とは〈意見〉のことである。「論点に対する結論を書く」とは、したがって「設問に対する意見を書く」ということになる。言い換えれば、「聞かれていることに、答える」ということになる。

    また、小論文と論文の「違い」についても述べた。

    論文では、筆者が自由に論点を設定し、結論を述べる。言い換えれば、「自分で聞いた質問に、自分で答える」のが論文のルールだ。これは一見、「ひとりごと」に見えるかもしれないが、論文を発表するということは、コミュニケーションにほかならない。つまり、「自分で自由に設定した設問」であっても、それが自分にとってだけではなく、他者にとっても重要な問題でなければならない。

    「論文」は「自由」ということが前提になっている(これは厳密には正しくないので、あとで修正する)。

    と述べたのは、そういうことである。「自由」と言っても、自分以外の誰にとっても重要でない問題について、論じることはできない。あくまでも「読者とのコミュニケーションが成立する」という前提を踏まえたうえでの「自由」ということになる。

    小論文の場合は、もっと「自由」の度合いが下がる。小論文は、「出題者」を前提にしなければならない。「読者とのコミュニケーション」という論文の原則のうち、小論文の場合は、「読者」とは「出題者」のことだということになる。もっとあからさまな言い方をすれば、「試験の採点者」のことだ。

    このように言うと、「人の価値観は多様であるはずなのに、小論文なんてものは、採点者の価値観に気に入られるかどうかで点数が決まってしまうろくでもない試験だ」というお決まりの意見が出てくる(これも「意見=結論」だ。もし設問が「小論文という試験科目について、あなたの意見を述べなさい」というものであれば、こう答えてもいちおう正解である)。

    しかし、小論文にはじつは「正解」がある。「採点者の価値観に気に入られる意見」が「正解」なのではない。じゃあ、なにが正解なのかという問いには、すでに答えている。

    「聞かれたことに、答えている」意見が「正解」だ(これもほんとうは不正確なので、あとで修正する)。

    前回の繰り返しになってしまうが、もう少しこの点にこだわって説明する。

    設問が「今日の月は綺麗ですか」だったとする。

    「はい」正解。「いいえ」正解。「まだ月は見えないのでわからない」正解。「天気予報では70%の確率で晴れだったので、70%の確率で綺麗である」正解。「月を見て綺麗だと感じるか感じないかは、見る人の感受性によって異なるため、一概には言えない」正解。「綺麗であるか綺麗でないかという属性は、月という惑星に本質的に宿っているのではなく、それを判断する観察者付与するものであるから、観察者によって綺麗であるか否かが決まる」正解。

    こんなに正解があるのなら、不正解はないのか、というと、ある。次のようなものが不正解だ。

    「まだ月は見えない」「天気予報では70%の確率で晴れだ」「月を見て綺麗だと感じるかどうかは見る人の感受性によって異なる」「綺麗であるか綺麗でないかという属性は、月という惑星に本質的にくっついているのではなく、判断する観察者が付与する」――これらまとめて、全部不正解だ。

    なぜか?「答えていないから」だ。

    この点も、日常言語と論文の中で使われる言語の違いだ。日常的には、「今日の月は綺麗ですか」と聞かれて、「天気予報では晴れだと言ってましたよ」と答えれば、「今夜は月が綺麗である」を意味するだろう。しかし、論文ではその結論部分を言わなければ、決して答えたことにはならない。

    「今日の月は綺麗ですか」という質問は、イエスかノーかを聞いている質問だ。だから、まず「はい」「いいえ」は質問に答えていることになる。基本的には、イエスかノーかを聞いているのにそれに答えなければ、不正解だと思ってよい。しかし「基本的には」ということは、「例外」もある、ということだ。この質問がその代表だ。

    まず、月が見えない状況で聞かれても、「わからない」としかいいようがない。だから「わからない」でも正解になる。その前にくっつく「まだ月は見えない」の部分は、「わからない」という結論を導く〈論拠〉である。

    天気予報を〈論拠〉とする結論は、確率論にもとづいて結論を導いているので、正解だが、〈論拠〉だけ言っても、結論を述べたことにはならない。

    月を見て綺麗だと感じるか感じないかは、見る人の感受性によって異なるため、一概には言えない」

    綺麗であるか綺麗でないかという属性は、月という惑星に本質的にくっついているのではなく、それを判断する観察者が付与するものであるから、観察者によって綺麗であるか否かが決まる」

    このふたつの答え方は、「設問を疑う」答え方だ。「その質問は、前提が間違っているのではないか」と言っているのだ。ただし、これらは、結論を述べているからこそ、正解になる。「一概には言えない」「観察者によって決まる」が結論だ。そこを述べないまま、どんなに丁寧に「質問が間違っている」ことを証明する〈論拠〉を並べても、正解にはならない。なお、アンダーラインが引いてある部分が〈論拠〉である。

    「小論文には正解がある」と言った。「聞かれたことに答えている」答案が正解である(先ほども言ったが、これは不正確なので、修正する)。

    ただし。

    小論文は、正解だからといって、高い点数がとれるとは限らない。ここが他の科目と異なる点だ。「正解であるか否か」は、採点してもらえるかどうかの「前提条件」にすぎない。

    つまり、正解であれば採点してもらえるが、不正解であれば0点であり、なにをどう書こうとも、得点には結びつかない。

    論点に対しての結論をきちんと書いているということが論文のルールだ、と述べた。このルールは小論文でも同じだとも述べた。前回の文章では、最後に「このルールにしたがってさえいればよいのであればどうやって点数差がつくのか」という疑問点をあげた。

    「点数差」がつくには、まず採点してもらえなければならない。そのためには、正解していなければならない。この点がわかっていないまま、がむしゃらに答案練習をしても、まるで無駄である。

    では、「点数差」はどのようにしてつくのだろうか。

    今回、〈論拠〉という言葉を説明なしに出した。言うまでもなく、「結論」を導いたときに「なんでこの結論になるのか」を説明する証拠が〈論拠〉である。先のふたつの文のアンダーラインの部分が〈論拠〉だ。

    「点数差」は〈論拠〉でつく。

    そして、〈論拠〉のない答案は、やはり0点である。

    今回の文章の中で、2回、「正確でないので修正する」と述べた箇所がある。「正解の答案は、聞かれたことに答えている答案だ」という部分だ。ここで修正しよう。小論文で「正解」になる答案は、「聞かれたこと」(論点)に対して「きちんと答えて」(結論)おり、なおかつ「その理由を示している」(論拠)、そういう答案である。

    〈論点〉〈結論〉〈論拠〉――このみっつの要素から、小論文は成り立っている(「論文」も同じである)。

    新しい言葉が出てきたから、混乱するかもしれない。

    整理しよう。

    まず、〈論点〉(質問)に〈結論〉(答え)を出していることが、採点してもらえる前提条件である。この条件を満たさなければ、採点してもらえないので自動的に0点である。

    つぎに、〈結論〉を導いた〈論拠〉(証拠・理由)をあげていなければ、得点はつかない。したがって、「論拠がゼロ」の答案は、採点してもらう前提条件は満たしているものの、やはり0点になる。

    そうすると、今回の文章の中で「正解」とした文の中に、じつは「0点」の「正解」がある。

    「今日の月は綺麗ですか」が論点だった。

    「はい」「いいえ」――このふたつを「正解」としたが、得点としては0点だ。〈論拠〉がないからだ。

    「はい」と答えるのであれ、「いいえ」と答えるのであれ、「なぜなら……だからだ」という部分がなければ、いっさい得点することはできない。


    問い:次の5つの質問に対して、「はい」の立場と「いいえ」の立場の両方から、論拠を書きなさい。それぞれ20字以上200字以内とする。

    (ヒント:5つに、「はい」と「いいえ」を書くのだから、全部で10の論拠を書かなければならない)

    質問1:日本の公用語を英語にするべきだという意見に賛成ですか?

    質問2:保育所などの育児サービスを国の責任で増やすべきだという意見に賛成ですか?

    質問3:大学入試の科目に小論文があることに賛成ですか?

    質問4:18歳未満にはSNSの利用を一律禁止すべきだという意見に賛成ですか?

    質問5:少子高齢化で労働力が足りなくなっている日本で、移民を受け入れるべきだという意見に賛成ですか?



    課題


    前回同様、まず「読めない漢字」があったら、読めるようにしておくこと。漢検を利用するのが手っ取り早いが、準1級以上の漢字は、読書で増やす。

    また、「意味・定義がよくわからない言葉」があったら、辞書や用語事典などで調べておくこと。








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