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    合格する入試小論文を書けるようになる:week1

    論文

    突然だが連載をはじめる。

    昨日は「3ヶ月で小説を書けるようになる」連載を突然はじめたが、今日はじめるのは「大学入試小論文」を書けるようになるためのシリーズである。

    大学入試は合格することを目的に受けるのだから、このシリーズでは「合格できるレベルに達する」のをゴールとする。


    このシリーズは大学入試をひかえた高校生や受験生を対象にしている。常用漢字以外は使わないが、仮に読めない漢字があれば、この記事下部にあげた漢字検定のテキストで6ヶ月以内に補うこと(「書ける」漢字は準2~2級まででよい。「読める」漢字は多ければ多いほどよいが、読書で身につけるべきである)。



    期間はおよそ1年、50回を予定している。

    毎週かかさず、というのでは筆者が体力を消耗してしまうから、休むときは休む。旅行や出張で記事執筆が間に合わないというときは、ブランクが生じることを想定している。


    「大学入試」といったが、短大入試でも、省庁大学校の試験でも使えるレッスンにする予定だ。

    ちなみに「省庁大学校」とは、学校教育法に定められた学校以外の教育施設で、学校教育に類する教育を行うものであり、この教育を行うのに特定の法律による規定があるものをいう。

    防衛大学校や水産大学校などがそうだ。

    さらにちなみに、防衛大学校は「入学試験」ではなく「採用試験」が課される。

    学生は特別職国家公務員である自衛隊員で、給与や被服が支給される。

    学費は無料だが、あくまでも貸与という扱いで、卒業後、一定の期間以内に退官した場合、授業料の返還を求められる。


    (上のように、「~とは」という文章を見つけたら、メモしておくとよい。小論文は知識だけでは回答できないが、知識がなければそもそも一文たりとも書くことはできない。言葉の定義を可能な限りおぼえること)



    50レッスンというのは、あくまでも、見切り発車でスタートしたこのシリーズの、おおまかな枠にすぎない。

    60レッスンになるかもしれないし、40レッスンになるかもしれない。


    私は個別指導塾で長年講師をしてきた。個別指導塾では、生徒一人ひとりに「オーダーメイドのカリキュラム」を作成する。

    個別指導の最大の原則は「スモールステップ」だが、おおよそ25ステップで「ゴール(目標)」に到達するようにカリキュラムを考える。

    オーダーメイドとはいえ、出会って4~5時間しか対話をしていない生徒のすべての弱点がわかるわけがない。

    だから、「1ステップ」として考えていた段階を、さらにスモールに細分化して、「3ステップ」に分ける、という修正が、どうしても、途中で入る。

    このシリーズでは、この修正を折り込んで、倍の50ステップとした。


    また、「作文」の書き方しか習ってきていない高校生が、「小論文」を書けるようになるには、おおよそ1年間のトレーニングが必要だと、私は考えている。

    「作文と小論文って、なにが違うの?」という疑問には、おいおい答える。



    方針

    まず、余計な講釈は可能な限りはぶく。

    想定読者は、読書経験の少ない高校生である。

    おそらく、この「方針」セクションに入るまでに、多くの高校生は脱落している。

    というわけで、ここを読んでいる高校生、おめでとう、あなたには小論文を書くために必要な根気と熱意がある。


    講釈・解説のかわりに、問題文として、多くの文章を読んでもらう。

    つまりいきなり問題を解いてもらう。

    この「問題文」を読むことを通して、小論文が書けるようになる極意が自然と身につくように工夫するつもりだ。


    そして、とにかく書いてもらう。

    「自分がどれぐらい書けないのか」を知らなければ、どういう努力をすればよいのか、誰にもわからない。

    ほとんどの受験生は、自分が思っているよりも、書けない。

    予備校の模擬試験などでは、自分で70~80点ぐらいだと思って書いた文章に、「8点」という点数がつけられて返される(これは私がはじめて書いた小論文の話でもあるし、ほとんどすべての「小論文初心者」がそうである)。

    多くの受験生はそこで自尊心を傷つけられ、「採点がおかしい!」と捨て台詞をはいて、小論文という世界から去っていく。

    小論文が試験科目にない学校を受験校に選ぶ。


    こうして予備校の小論文クラスは、徐々に人口密度が減って行き、最終的に残った少数精鋭のみが「小論文が書ける」状態になっている。

    うまいもんである(商売が)。


    このシリーズでは、今現在のあなたは「8点」の答案しか書けない、ということを想定してスタートする。

    ほんとうは予備校の小論文クラスもそうなのだが、教室型の授業は個別指導と違って個々の生徒と濃密なコミュニケーションができるわけではないので、どうしても「ふるい落としていく」タイプの授業しかできない。


    用意するもの


    • 400字詰め原稿用紙:A4サイズ:横書きでも縦書きでもよい
    • 筆記用具(シャーペンと消しゴムと4色ボールペンと蛍光ペン)

    シャーペンより鉛筆が書きやすければ鉛筆でもよい。ただし入試はスピードが勝負なので、鉛筆の芯が折れてパニック、という事態は避けたい。

    可能な限り、疲れにくく、書きやすいものを。

    オススメはクルトガ。

    4色ボールペンは、黒・赤・青・緑が一般的である。

    これも可能な限り書きやすいものを。

    オススメはジェットストリームの4&1。ボールペン部0.7mm。

    蛍光ペンは色の種類にバリエーションを持たせるべきだが、自分で「どういう意図でこの色でマークしたのか」を忘れるほど多いのはまずい。

    筆記具にはお金をかけなさい。

    快適な学習環境を自分でデザインしなさい。

    「デザイン」のセンスに自信がないなら、無印良品でそろえるというのも手だ。



    レッスン1:論点と意見または結論


    問題1:次の文章を読んで、後に続く問いに答えなさい。


    「小論文」とはなんだろうか。

    「小論文」というからには、「論文」の一種なのだろう。しかし、頭に「小」が付いているということは、「論文」よりは、もっとスケールの小さい、「ミニ論文」とでも言えばいいのだろうか。「論文」がとても意義のある、「たいそうな」ものであるのに対して、「小論文」はあまり社会的意義のない、とても小さな主題を扱うのだろうか。良く言えば「生活に密着した」ものになるのだろうか。

    こうした疑問を持つところから、高校生の小論文トレーニングははじまる。まずはじめにこの疑問をやっつけないことには、どんなにたくさん書きまくろうとも、けっして小論文が書けるようにはならない。

    まず大前提として、「小論文」も「論文」である、という点をおさえておこう。扱う主題の大きさが違うのでもなければ、意義が違うのでもない。「小論文を書きなさい」と言われたときは、「論文」を書かなければならない。

    「論文」と「小論文」の違いは、難しく言えば、社会的文脈の違いである。

    論文の場合、書き手が問題を設定し、書き手がそれに解答しなければならない。これは誰に強制されるものでもない。「論文」は「自由」ということが前提になっている(これは厳密には正しくないので、あとで修正する)。

    これに対して、小論文の場合は、「出題者」がいる、という点が大きく異なる。おそらく、小論文を試験科目にしている試験のほぼ100%に、「問題文」がある。そうでなければ、受験者はなにをどうしていいのか途方に暮れてしまう。また、もちろん、「800字以内で論じよ」といった細かいルールが課されることも多い。

    「社会的文脈の違い」といったが、「論文」は「不特定多数」の読者を相手に書かなければならない。もちろん、学術論文だから、まるで分野の異なる人には読まれないだろう。しかし、少なくとも、会ったことがないかもしれない複数の人たちに読まれる(もしかしたら自分が死んだ後に読まれるかもしれない)、という「社会的文脈」のなかで書かなければならない。

    小論文は、出題者が読者である。もちろん、試験で書いた答案を、後から思い出して、不特定多数の読者を相手にもう一度書いてみることも可能だろう。しかしその答案は、出題者が課したルールのもとで書かれたのであり、まず第一に「出題者との対話」という「社会的文脈」のなかで書かなければならないのである。

    このような「違い」が、まず考えられる。ほんとうはもっと「違い」があるのだけど、さしあたり今はこの点をおさえておこう。

    さて、「論文」と「小論文」にはこのような違いがあるのだとして、それでも「小論文とは論文である」と言わなければならないのはなぜだろうか。

    論文は不特定多数の読者を相手に書く。小論文は出題者という読者に向けて書く。ここに共通するのは、「読者がいる」ということである。

    別のいい方をすれば、いずれも、コミュニケーションである、ということになる。

    一言でコミュニケーションといっても、その種類は数限りない。「雑談」もあれば「喧嘩」もある。「命令と応答」もあれば「商談」もある。そうした数限りない種類のコミュニケーションのうち、論文、または小論文が行うコミュニケーションとはどのようなものだろうか。

    一言でいえば、「論点に対する自分の意見を述べる」というコミュニケーションである。「設問に対して考えたことの結論を言う」といってもよい。

    いま、「論点」「意見」「設問」「結論」という言葉が出てきたが、論文にせよ小論文にせよ、これらが、まず、その文章の骨格をなしている。これらがなければ、それは論文でも小論文でもない。試験でこれらがない回答を提出したら、0点である。

    言葉の整理をしておこう。いま4つの単語を並べたが、「論点」=「設問」である。また、「意見」=「結論」である。これは日常言語とは少し違う言葉の用法である。日常言語では、「意見」は必ずしも「結論」ではない。しかし、論文の世界では、その論文で述べている「意見」は、その論文の「結論」である。このルールは、小論文でも同じだ。

    わかりにくいかもしれないので、例を見よう。

    「美味しいカレーの作り方は?」というのが「論点=設問」だったとしよう。

    「火を止める直前にガラムマサラを入れることである」というのが「意見=結論」として正しい。

    いやいや、間違ってるでしょう、と思うかもしれない。水も適量じゃなきゃならないし、他にも必要なスパイスはあるし、ガラムマサラを入れていないカレーで美味しいものは存在する、と反論するかもしれない。だから、この結論は間違っている、と。

    しかし、それはこの論文が書かれた「あとに」生じるコミュニケーションである。「ひとつの」論文(または小論文)の中では、必ず「結論」を出さなければならない。このルールにとって「正しい」、という意味である。

    では、間違った「結論」とはどういうものだろうか。

    「美味しいカレーの作り方は?」という論点に、「おふくろが愛情を込めていることが必要だ」というのはどうか。

    これはやや微妙である。とはいっても、おふくろが作ったのではないカレーで美味しいものはたくさんある、という意味で微妙なのではない。これは先の例でいう「あとに生じるコミュニケーション」だからだ。そうではなく、これが微妙なのは、「作り方」を聞いているのに対して、「作る人がおふくろである」という「条件」を答えているから、微妙なのだ。あくまで、論文としては、ということだが。追記。もし言い回しを変えて「作り手が愛情を込めることである」とすれば、論文として100%正しい結論になる。これは「作り手」が誰であれ、「作り方」のプロセスにおいて「愛情を込める」という要素が決定的だ、と主張していることになるから。

    つまり、「聞かれていることに誠実に答えていない」回答が、間違っているということになる。

    もっとあからさまに間違った例としては、「複数の香辛料を使って野菜や肉などの食材を味付けした料理がカレーである」とか、「カレーは、日本には明治時代に、イギリスから伝わった」などがある。いかにも知識が豊富で賢そうに見えるかもしれないが、論点に答えていないのだから、0点の答案になる。

    つまり、〈論点〉に対しての〈結論〉をきちんと書いている、ということが、論文の基本原則であり、この点は、小論文でもまったく同じである。

    まだまだ疑問に思うことはあるかもしれない。論点が明らかになっていない小論文の問題文もあるじゃないかとか、このルールにしたがってさえいればよいのであればどうやって点数差がつくのかとか。

    これらの疑問には次回以降、答えていくことにしよう。


    問い:この文章の「論点」を15字以内で、「結論」を50字以上100字以内で書きなさい。



    解答解説は、次回。



    課題


    この記事全体を読んで、読み方がわからない漢字があった場合、またはこれから小論文のトレーニングをしていくうえで常用漢字を書ける自信がない場合、漢検の4~2級の範囲を学習しておくこと。

    準1級以上は受験しなくてよい。趣味ならばとめないが、小論文の力をつけるうえでは、難しい漢字が書けることはまるで得点に結びつかない。

    常用漢字にない漢字でも、出題文によっては読めなければならないことが多いが、読書と辞書やインターネットによる調査のほうがはるかに有益である。

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