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    ミステリアス・バイヤーことセイホネンキン

    かなり久しぶりに金融市場について書きます。

    久しぶりなのには理由があって、ニュースにもなっています。

    いわく、

    [東京 18日 ロイター] - 為替市場で「ミステリアス・バイヤー」と呼ばれる国内大手投資家のドル買い/円売りが話題となっている。ドルが100円割れになるかと思われるほど急激に円高が進行する局面で巨額の円売りに動くため、円の買い仕掛けを狙う海外投機勢が敵視するほどの影響力を発揮している。


    準公的資金が動いた形跡もあり「官製相場」との批判もあるこの動きは、円高抑制に一定の効果を上げる一方、今後のドル/円相場の反発力を奪う可能性も懸念されている。


    「ミステリアス・バイヤー」なる言葉をロイターが使って批判的になるのは「ポジション・トーク」として批判も出ていますが、市場に対する一般的投機家の偽らざる心情でしょう。


    金融市場に詳しくない方のためにも何が起きているのか簡単に説明します。

    ようは、ドル円相場の値動きが、上下ともに抑えこまれている状況です。

    値動きの幅、というと、よくニュースアナウンサーが「ドル円相場は小幅な値動きとなっております」と付け加えることがありますが、この「値動き」のことを「ボラリティ」といいます。

    値動きが小さい(小幅な値動き)相場を「低ボラ」といって、投機家は非常に嫌います。

    金融投機は、値動きから利益を得るからです。


    図(チャート)で見るほうがわかりやすいかもしれません。

    週足

    これは「週足」チャートで、ローソク足1本が、1週間の値動きを表しています。

    この図はおよそ直近2年間の値動きです。アベノミクス(金融緩和)でどんどん上昇(円安)して103.73円/ドルに達し、そこから真っ逆さまに93.79円/ドルまで円高に振れています。この時期は非常に「ボラリティ」が高い、といえます。


    それに対し、今年に入ってから(図の真ん中辺から右側)、ほとんど横一直線なのがわかります。まるでボラリティがない状態です。これでは「ドル円」相場に参加する投機家は利益を得られません。

    もちろん、民主党時代(1ドル70円台)と比べて一般的にはガソリンが高くなって好ましくありませんし、逆に輸出産業(自動車メーカーなど)にとってはアベノミクスさまさま、といった評価で、いちがいに円がいくらならば好ましい、ということは言えません。

    ときどき政治家が「だいたい100円ぐらいが好ましい」などと口をすべらせることがありますが、これは「口先介入」といって、基本的にはこれは禁じ手です。市場の最大の正義は自由な取引であって、政策によって誘導されることは望ましくありません(これが野放しになったら、各国政府が口先介入合戦になって、自国の産業に有利になるように介入し、市場から自由が奪われるでしょう。危機的な状況に各国共同して介入する場合はその限りではありませんが)。


    冒頭のロイターの記事に戻りますが、今年の低ボラリティに市場が嫌気をさしてきたころ、7月18日にウクライナで民間機の撃墜事故がおきました。

    あの事故以前にも、そもそもウクライナ有事にさいして、「有事の円買い」が予想され、市場はウクライナ情勢を注目していたのですが、結局上にも下にも行きませんでした(かつては「有事のドル買い」と言われていました。戦争が起きればアメリカが儲かる、という発想ですね。しかし今は「リスク・オフ」といえば、世界的に日本円が対象になります。7月4日のアメリカ独立記念日には「テロが起きるかもしれない」と市場は警戒しました。安定した日本円に対して、ドルを買うことを「リスク・テイク」といいます)。


    民間機撃墜が起きたあたりをクローズアップした次のチャートをみましょう。

    日足

    これは「日足」で、ローソク足1本が1日の値動きを表しています。

    ニュースを受け、1ドル101.60円付近から101.20付近に円高に振れます。

    ロイターは次のように書いています。

    「きょうは株も下がる。ドル100円台突入は間違いないだろう」。仲間との情報交換を経て感触を得た東京のトレーダーや投機色の強いファンド勢が、次々とドル売り/円買いに動く。円はじりじりと上昇し、午前7時半に101.09円に達した。100円台乗せはもう時間の問題、99円台へ円がさらに急騰する可能性はあるか、そんなシナリオが参加者の脳裏にちらつき始めた時だった。気配値が切り替わるたびに画面上で点滅するレートの動きが激しくなり、ドル高/円安に反転し始めたのだ。


    予想外の展開に、トレーディングルームは一挙に喧噪に包まれる。「101.10─20円にかけて、大口のドル買い/円売りが国内投資家から断続的に入ったらしい」。未確認情報が駆け巡る中、レートは点滅するたびに気配値を切り上げ、下げ相場を予想していた参加者は早々と売りポジションの損切りを余儀なくされた。「地面を掘り進もうとしたら、いきなり岩盤にぶち当たったようだった」。ドル/円を売り向かっていたトレーダーのひとりは、「国内投資家」として名指しされたある準公的機関の買いの勢いをこう表現した。


    結局、多くの参加者が下げると予想していたドル/円相場は、昼ごろには101.40円近くまで値を回復。海外時間も底堅い動きのまま、その週の取引を終えた。


    ようするに、円高に突入するのが確実かと思われた瞬間に、大口の「国内投資家」が円売りドル買いを行い、円高を避けた、ということです。ここで「ある準公的機関の買い」と言われているのが「ミステリアス・バイヤー」というわけです(ドルを買うのでバイヤー)。


    「官製相場」という言葉も出てきていますが、そこになんらかの意図を市場は感じ取り、どんどんドル円市場から投機家が離れていきます。

    2ちゃんねるでは「年金砲」(「砲」は大砲を打ち込む、の意味)という言葉が良く出てきますが、かつては(といっても1年前とかですが)「しょぼい介入」の代名詞でした。ションベンみたいな年金砲より、ロンドンヤクザのほうが恐ろしい、というわけです。

    「謎の投資家って何者?」「セイホネンキン」という会話が日常的に(2ちゃんねるでは)かわされています。実際はどうかわかりませんよ。たんなるヘッジファンドである可能性が高いと思われますが、政府が関わっていたとなれば問題です。


    ところで、「円高に振れそうになると(100円台になりそうになると)ドル買いが入り、円安に戻ってしまう」という事態を、投機家が嫌う理由は、「円高を望んでいるから」ではありません。

    ボラリティが小さいままとどまるからです。

    一般的に、大きく下がった後は、大きく上がります。株も基本的にはそうですが、株がファンダメンタル(決算書報告などの分析)に左右されることが多いのに対し、為替は心理的な要因が顕著です。

    勢い良く上がった時は、「なにくそ!」と売りが仕掛けられ、勢い良く下がります。基本的にはこの繰り返しで、投機家はこの値動きを利用して利益を得ます(もちろん損をする人がほとんどですが)。

    ドル円相場は現在、一度100円を割らない限り、上にはどうしても跳ねない状況にあります。このような相場では、売り注文を出すこともできなければ、買い注文も出すことができません。

    したがって、ドル円相場の勢いがどんどんなくなっていく、ということになります。


    谷垣法務大臣が消費税増税について歪んだ発言をして、完全に日本経済が末期状態であることを証明してしまいましたが、これに関連して、2ちゃんねるでは「増税前にまた円安誘導して値上げして便乗値上げのあと、円高誘導か?」などとまことしやかな噂が流れています。もちろんこれは耳を傾ける必要のない、たんなる雑談にすぎませんが、多くの投機家がいまの市場にある「意志」に反感を感じているのは間違いありません。


    異常さがわかるチャートを見ましょう。

    ダウ

    黄色い線は、アメリカの株式市況、ダウ・ジョーンズの値動きですが、17000ドル超えという、史上最高値をつけるほど勢い良く上昇しているのがわかります。

    理由はよくわかりませんが、アメリカはいま空前の好況期です。

    ドルがからむ市場は、このダウにつられて動くものですが、円がびくともせず、きわめて狭い範囲をたださざなみのように波打っているだけ、というのが、不気味です。


    こちらからは以上です。



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